令和4年度 榮昌会 吉田病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - 8 17 27 78 173 265 531 554 156
2022年度(2022年4月~2023年3月)に退院された患者様1809名を10歳刻みで集計しました。最も多い年代は80歳台となり、次いで70歳台でした。70歳以上の方は全体の68.6%となり、高齢の患者様も安心して在宅復帰できるよう超急性期治療から回復期までの一貫したリハビリテーションを行っております。また当院では10歳台の患者様も受け入れております。脳神経疾患の中には若年層の方でも発症する疾患もあります。若年層ゆえの不安や社会復帰を、医師をはじめ看護師・リハビリ療法士・医療ソーシャルワーカー等の専門職種がチームとなって丁寧に対応しています。院内Wi-Fiを完備させ入院中から脳卒中の予防を目的とした動画配信やリハビリの自主練習等ののための動画配信を行う等、患者様の在宅復帰への意欲継続に取り組みました。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内,かつ,JCS10未満) 手術なし 処置1なし 処置2_4あり 定義副傷病なし 発症前Rankin Scale 0,1又は2 124 26.77 15.97 5.65% 72.50
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 処置1あり 処置2なし 110 2.51 2.95 0.00% 64.55
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 処置2なし 定義副傷病なし 108 12.70 10.14 10.19% 81.53
010230xx99x00x てんかん 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 86 8.81 7.33 4.65% 64.29
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 73 10.67 8.54 9.59% 75.01
最も多い「脳梗塞(3日以内)」では、発症から24時間以内に開始するエダラボン点滴を使用した急性期治療とリハビリを行ったものです。脳梗塞は1分でも早く治療を開始することが大切です。発症4.5時間以内であれば超急性期血栓溶解療法(t-PA療法)を、数時間以内であればカテーテルを用いた経皮的血栓回収術等を行うことにより予後が左右されるため、当院は24時間365日体制で患者様を受け入れています。

2番目に多い「未破裂脳動脈瘤」は、脳動脈瘤に対して行う血管撮影検査のための入院です。脳動脈瘤は放置しておくと非常に怖い疾患です。7ミリ以上の大きさになると年間2%程度の人が破裂するといわれています。脳動脈瘤は破裂するとくも膜下出血を起こし命に係わります。当院では、定期的に血管撮影検査を行うことで脳動脈瘤の大きさや形状の変化を早期に察知し、迅速に対応しています。コロナ禍においても変わらず検査入院を勧めています。

3番目に多い「頭蓋・頭蓋内損傷・手術あり」は、「慢性硬膜下血腫」や「脳挫傷」等の頭蓋内損傷を起こされた患者様です。平均年齢が80台と高齢の患者様が多いのが特徴です。数か月前に転倒等で頭を打ったことが原因で頭蓋骨から脳までの間に血が溜まる「慢性硬膜下血腫」は、手術後2週間程で退院することができます。

4番目の「てんかん」はてんかん発作により、けいれんや意識障害等が続く状態で救急搬送される患者様です。てんかん発作は脳卒中や頭部の外傷、アルコール、薬物中毒、脳炎などによるものなど様々な原因で起こる発作です。重積状態になった場合は意識障害や呼吸困難、意識消失による転倒での二次的な外傷もあったりと脳卒中に並ぶ神経救急疾患の一つであり、命にかかわることもあるため積極的に受け入れています。

5番目の「頭蓋・頭蓋内損傷・手術なし」は、頭を打ってすぐに検査をしても特に異常がない方が数時間後に「脳挫傷」や「外傷性くも膜下出血」を発症することもあります。当院では、外傷後の異変を見逃さないためにご入院いただき、画像診断・全身状態の観察を行い、異常があればすぐに対応できるように心がけています。

また当院では、脳卒中後遺症に対するボトックス治療やリハビリを目的とした患者様も多く入院されます。脳卒中はどれだけ高度な治療を行っても四肢の麻痺、痙縮、嚥下障害等の後遺症が残る場合があります。退院された後の日常生活をより快適にするために当院での治療歴の有無にかかわらずボトックス治療・CI療法・促通反復療法(川平法)・磁気刺激療法・ITB療法等を入院して行い機能改善を目指します。
全体を通じて当院の入院平均在院日数が全国平均日数より長いのは、回復期リハビリテーション病棟を有し、他院に転院せずに一貫した脳卒中医療・リハビリをおこなっているためです。退院時には、病病連携・病診連携・介護連携を細やかに行い、患者様が退院された後も安心して継続的な医療や介護が受けられる体制を作っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - - -
大腸癌 - - - - - - - -
乳癌 - - - - - - - -
肺癌 - - - - - - - -
肝癌 - - - - - - - -
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院は、脳卒中治療を中心に診療を行っているため、公表データはございません。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 - - -
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
当院は、脳卒中治療を中心に診療を行っているため、公表データはございません。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 430 31.64 76.61 14.88%
その他 101 37.38 75.01 18.81%
当院に入院された脳梗塞の患者様のうち、約81%の患者様が発症から3日以内に来院されています。脳梗塞は発症後すぐに専門治療を受けることが非常に大切です。当院では24時間365日体制で脳神経外科医が常駐し、救急搬送の連絡が入った時点から多職種のスタッフが超急性期血栓溶解療法(t-PA療法)やカテーテルを用いた経皮的血栓回収術等を患者様が到着後すぐに提供できるよう常に準備を整えています。また、脳卒中を発症してすぐの患者様を集中管理するためのSCU(脳卒中ケアユニット)病床や、急性期を乗り越えられた患者様が安心して在宅へ戻られるためのリハビリや退院調整を行う回復期リハビリテーション病棟を有し、他院に移ることなく一貫した脳卒中専門治療を行うことができます。そのため発症から3日以内にご入院された患者様の転院率は14.9%と低くなっています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 101 1.70 14.46 12.87% 81.13
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 35 2.09 7.97 5.71% 76.00
K1742 水頭症手術(シャント手術) 28 5.36 18.46 17.86% 76.71
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 27 32.70 52.22 44.44% 80.15
K178-4 経皮的脳血栓回収術 23 0.04 42.87 39.13% 75.48
最も多い「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」は慢性硬膜下血腫に対する手術です。頭を打った数週間から数か月後に、頭痛や吐き気、歩行障害、認知障害等の症状が現れる方がおられます。画像検査にて慢性硬膜下血腫と診断され、入院後すぐに手術を行い術後リハビリを1~2週間程おこない退院となります。

2番目に多い「経皮的頚動脈ステント留置術」は、頚部内頚動脈狭窄症に対しておこなう手術でカテーテルを狭窄部まで到達させて狭窄部をステントで拡張する血管内手術です。頚動脈が狭窄・閉塞してしまうと脳に血液がいかなくなり「脳梗塞」となってしまいます。そのようなリスクを減らすために行われる手術ですが、カテーテルを用いた比較的侵襲が低い手術のため、手術後1週間ほどで退院となり日常生活に復帰することが可能です。

3番目に多い「水頭症手術(シャント手術)」は水頭症に対し行われる手術です。水頭症は認知機能障害・歩行障害・尿失禁等の症状を引き起こします。タップテストという検査入院で確定診断を行い、手術を施行します。当院は「正常圧水頭症センター」を開設し「正常圧水頭症」に対する「水頭症シャント術」を多く施行しています。認知症の症状と似ているため「認知症だから仕方ない」とご家族様が諦めてしまっているケースの中には「正常圧水頭症」の患者様もおられます。手術やリハビリを行うことにより多くの患者様が回復されています。

4番目の「胃瘻造設術」とは、脳卒中などの嚥下障害により経口摂取が不十分で誤嚥のリスクが高い患者様に直接腹部(胃壁)に5~6mm程の穴をあける手術で、チューブを挿入し栄養補給を行う治療です。胃瘻で栄養状態を改善させながら、嚥下訓練やほかのリハビリ等を誤嚥を減らしながら継続することが可能となります。経口摂取が可能となった場合はチューブを抜くこともできます。

5番目に多い「経皮的脳血栓回収術」は、発症数時間以内の脳梗塞に対し行います。脳梗塞は脳動脈の狭窄や閉塞により虚血が起こり一部の脳組織が壊死する病気です。この手術は閉塞した血管の血栓を速やかに回収し、脳組織に血流を再開させて脳梗塞の悪化を防ぐ手術です。超急性期にこの手術を行うことにより後遺症なく退院される患者様も多くなりました。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 11 0.61%
異なる 1 0.06%
手術・処置の合併症は、12件で全退院患者数の0.66%でした。
手術・処置等の合併症の内訳は、シャント機能不全・シャント機能感染・胃瘻造設部感染・手術創部感染・手術創離開・脳手術後遺症・予防接種副反応です。
患者様によっては、手術した傷口や体内に埋め込まれる器材に感染を起こされる方が少なからずおられます。退院まで注意深く観察をしておりますが、退院後に異常が出られる方もおられます。
退院してから、数日後には外来診療に来院いただき、創部の状態を含め全身状態を診察させていただき、感染徴候があれば外来での投薬・処置、必要であれば入院や再手術など速やかに対応しています。
更新履歴
2023/9/16
『病院情報の公表』令和4年度分掲載