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vol.01 Interview

vol.01 Interview

地域の医療ニーズに応え、
脳卒中の急性期医療から
リハビリテーション、
再発予防まで柔軟に対応する

理事長・院長
吉田 泰久

吉田病院 脳卒中センターでは、超急性期での迅速な治療、早期リハビリテーションに加え、回復期から在宅復帰後も視野に入れた継続的なリハビリテーションに取り組んできました。
近年は、脳卒中の再発予防や後遺症への対策、そして脳卒中と区別のつきにくい脊髄脊椎疾患、パーキンソン病類似疾患の診断・治療も急務となっています。
こうしたニーズに応えて当院の強みを地域医療に生かしていくにあたり、地域の医療機関の方々に知っていただきたいことについてお話しします。

脳卒中の急性期は、治療だけでなく早期リハビリテーションにも注力する

脳卒中の急性期治療はもちろんのこと、急性期から回復期、在宅復帰後の再発予防も含めて丸ごとフォローしていく――。これが当院のモットーであり、地域の脳卒中センターとしての役割でもあると考えています。

脳卒中センターの使命は、何よりもまず「救急医療」です。24時間、専門医が確実に診断して急性期治療を開始しますが、そこでは単に治療を行うだけではありません。
急性期から積極的に早期リハビリテーションを取り入れることにも力を入れています。
現在、当院で入院翌日からリハビリを開始する患者さんの割合は98%を占めます。
脳神経外科、脳神経内科、リハビリテーション医学の専門医はもちろん、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が多く在籍しており、早期リハビリを積極的に行っています。

他院で急性期治療を受けた患者にも回復期リハビリテーションの門戸を開く

脳卒中を発症すると急性期治療を行う医療機関に入院し、回復期からは別の病院でという地域連携型治療が一般的で、国としてもこのような役割分担を推奨しています。
当院の場合、脳卒中を発症して間もない急性期の患者さんを自院の急性期病棟で治療して継続で回復期病棟のリハビリを実施しています。
他院と異なり、急性期病棟と回復期病棟、双方の医師や療法士が同じ考え・技術を共有し、リハビリテーションを進めながら再発予防に尽力しています。
なお、回復期リハビリテーションで対象とするのは、当院で急性期治療を受けた人だけではありません。他院で急性期治療を受けた方も、回復期での脳卒中専門リハビリ、その後の再発予防を含めてお世話させていただきます。

最近では、血栓回収治療などの急性期治療の進歩により、劇的に回復する人が増えたため、回復期でリハビリをする患者が軽症/重症の二極化する傾向があります。
当院の回復期に他院から転院してくる患者さんの多くは重症です。そばに急性期病棟があり、万一の事態が起きても即対応できるという強みゆえのことでしょう。
しかし、軽症といえども、再発リスクの高い病気ですので、再発予防についての的確な方針、予防のための教育が大切となってきます。この部分でも当院脳卒中センターが皆様にお役にたてる部分であると考えています。

継続的かつ手厚いリハビリテーションを可能にする体制を整備

急性期・回復期ともに、リハビリテーションに関わるすべての療法士が促通反復療法(川平法)を習得・実践しています。
これは鹿児島大学名誉教授の川平和美氏が考案した方法論で、麻痺した手足を療法士が動かし、患者さん自身に同じ運動を反復してもらうことで神経回路を再構築する方法です。手足が動かなかった人でも、川平法によって驚くほど動くようになる効果が得られることがあります。手厚いリハビリテーションを実現できるよう、療法士は人数の上でも手厚い体制をとっています。

私たちは、継続的なリハビリテーションが極めて重要だと考えています。
そのため、退院後も、装具が古くなれば交換を提案し、痙縮に対するボトックス注射を検討するなど、専門医が後遺症について相談させていただきます。再発予防対策とともに、脳卒中後遺症対策外来を設置して、さまざまな手段で退院後の患者さんを徹底フォローします。

地域の医療機関と密に連携し、後追い検査を徹底して脳卒中再発を予防する

在宅療養に移行してかかりつけ医の先生方に引き継いでいただいた後、難点となるのが、脳卒中の再発予防のフォローが抜けやすいことです。
在宅復帰後も専門医による定期チェックをして無症候性の血管病変の有無を確認することが望ましいと思われます。急性期病院から回復期病院へ転院し、さらに在宅主治医へと移っていくと、そのチェックが抜け落ちてしまうことがよくあります。

ご存知の通り、脳卒中は再発率が非常に高い病気で、自覚症状がない段階から再発がないかどうかをチェックすることが重要です。
そこで地域の開業医の先生方には、脳卒中治療ガイドラインに沿って普段の生活習慣病の管理を、当院では定期的な後追い検査を行う。このような役割分担が実現できればと思っています。

当院での後追い検査の対象となるのは、急性期・回復期をどの医療機関で過ごしたかに関わらず、すべての在宅療養中の患者さんです。再発が分かれば入院し、リハビリテーションを含めて対応していきます。検査ではMRIや頸部エコーのほか、血圧手帳・お薬手帳・血液検査結果(かかりつけ医で受けたもの)などに基づいて食事指導も行います。ここまで網羅して総点検するのは時間がかかりますが、患者さん自身に再発予防の大切さを認識していただく上でも良い機会となっています。

検査については、予約が取りにくいのではないかと懸念する方もいるかもしれません。
確かに、特にMRIは予約が埋まりやすい傾向があります。それでも、地域の先生方から紹介される患者さんのために1日数枠は空きを確保しているのでご安心ください。
検査の頻度については特に公的な見解はありませんが、リスクが高い人は少なくとも半年に1回、ある程度安定していれば年1回程度が目安になるのではないでしょうか。

地域ニーズの増大を受け、脊柱・脊髄などの疾患を診る専門外来を開設

高齢社会の到来により、てんかんやパーキンソン病類似疾患、正常圧水頭症、脊髄・脊椎疾患など、高齢者によく見られる疾患も増えています。
これらの疾患では、歩行障害や手指の巧緻性低下などの運動障害、神経痛様の疼痛、易転倒性、何らかの行動異常等、脳卒中とまぎらわしい症状があり、なかなか区別が難しいものがあります。

この領域を強化するべく、当院では2021年4月に「脊椎・脊髄外科、三叉神経痛、顔面痙攣専門外来」を開設しました。すでに行っている「正常圧水頭症、パーキンソン類似疾患外来」とともに「脳神経疾患地域包括医療」という位置づけで、脳卒中だけでなく、脳卒中と紛らわしい神経疾患についても専門的に診断・治療を行っております。

脊髄・脊椎外科の領域では、整形外科の先生方も多くの手術をされていますが、その場合は脳神経内科で神経学的診断をされて、整形外科で手術を担当されることが多いようです。
当院の場合、手術を担当する医師自ら、神経学的評価・画像診断から手術まで一貫して行います。
担当いたしますのは年間約300例の手術実績を持つ日本脊髄外科学会専門医・指導医ですので、自信を持ってお勧めできます。
脳卒中はもちろん、脳卒中かどうか疑わしい場合も含め、些細なことでもお気軽にご相談ください。

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地域医療連携室にお気軽にご連絡ください。

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