
vol.15 Interview
新院長ご挨拶
高度な脳疾患医療を、
絶えず進化させ続ける
病院長
南 浩昭
令和7年4月、吉田泰久 前院長の後任として南浩昭 新院長が就任しました。吉田病院は、脳神経外科学会専門医をはじめとする充実したスタッフの体制で、一次脳卒中センター(PSC)コア施設に認定されています。他職種のスタッフとのチームワークを大切にして人材育成に力を入れ、脳神経血管領域の高度な治療を提供する方針です。
組織の全体を見渡し、責任ある医療運営へ
令和7年4月1日付で、吉田泰久前院長の後任として吉田病院の院長に就任いたしました。多くの職員が日々医療に従事するこの病院を預かる立場となり、その責任の重さを改めて感じております。これまでは一臨床医として患者さんと向き合ってきましたが、今後は病院全体を見渡しながら、より良い運営と医療の質向上に全力で取り組んでまいります。
脳神経外科一筋の歩みと専門性の深化
私は平成3年に神戸大学医学部を卒業後、脳神経外科に入局しました。旧姫路循環器病センター、旧成人病センター、兵庫県立こども病院などで研修を積んだ後、旧六甲アイランド病院、伊丹恒生脳神経外科病院で臨床経験を重ねました。その後、旧兵庫県立淡路病院に医長として約9年間勤務し、吉田泰久理事長とのご縁で吉田病院に入職いたしました。脳神経外科の二本柱とされる「直達手術」と「血管内治療」の両分野で研鑽を積み、現在は脳神経外科学会・日本脳神経血管内治療学会の専門医および指導医として、後進の育成にも力を入れています。

充実したスタッフ体制による質の高いチーム医療
吉田病院の最大の強みは、専門性の高いスタッフが揃った充実のチーム体制にあります。現在、脳神経外科学会専門医が10名在籍しており、複雑で難易度の高い症例にも複数の医師が連携して対応できる体制を整えています。脳神経外科医の交代が可能なシフト体制も確立しており、働き方の柔軟性が保たれていることも、安定した医療提供の土台となっています。さらに、脳神経内科や循環器内科の常勤医師も加わっており、外科的アプローチだけでなく、内科的な視点からの診断・治療支援も受けられる、総合的な診療体制を構築しています。
当院は、日本脳卒中学会より「一次脳卒中センター(PSC:Primary Stroke Center)」の認定を受けており、365日24時間体制で、地域の医療機関や救急隊からの要請に応じて脳卒中患者を受け入れています。急性期診療担当医が静注血栓溶解療法(rt-PA)を迅速に開始できる体制が整っており、さらに、地域の急性期脳卒中医療の中心的な役割を果たす「一次脳卒中センターコア施設」にも認定されています。これらの体制が可能なのは、多くの専門スタッフが在籍し、高度な連携が取れているからにほかなりません。
また、当院では急性期病棟においても、発症直後から積極的にリハビリテーションを開始しています。脳神経外科領域の疾患は後遺症が残るリスクが高いため、できるだけ早い段階でのリハビリが重要です。当院には院内に回復期病棟が併設されており、急変時には即座に治療へ移行できるという安心感があります。近年、リハビリの重要性が高まるなかで回復期病棟の需要が増し、対応のためベッド数も増床しました。急性期から回復期まで一貫した医療体制を整え、患者さんのより良い社会復帰をサポートしています。
高度な医療と人材育成を両輪に、次のステージへ
当院の経営にあたっては、「より高度な治療の実現」と「人材育成の推進」の両立を目指しています。医療の質を高めるためには、医師一人ひとりの知識と技術の研鑽が欠かせません。理事長が掲げる「神戸一の脳外科をつくる」という理念に共鳴し、私もその実現に向けて尽力したいと考えています。また、吉田病院が大切にしてきた「手術からリハビリまで一貫した診療体制」は、これからも変わらず継承・発展させてまいります。
医療の質と安全を両立する取り組みとして、「医療安全対策委員会」を設置し、継続的な改善に取り組んでいます。手術室のような現場はもちろんのこと、日常業務の中に潜むリスクにも目を向け、多職種の代表が集まり定期的に話し合いを重ねています。また、感染対策委員会も活発に活動しており、安全で信頼できる医療環境の維持に努めてまいります。
さらに、スタッフの教育や人材育成に力を入れる方針です。人材こそが医療の基盤であるという考えのもと、医師に限らず、すべての職種の成長を支援しています。学会や勉強会への参加費を補助し、資格取得に必要な手続きにも柔軟に協力しています。資格を得ることは、医療人としての自信につながり、さらに一歩踏み出す原動力になるはずです。私自身、臨床医として真摯に学び続けることが必要であり、スタッフにも常に前向きに学ぶ姿勢を持ってほしいと願っています。
また医療現場では、チームワークが何よりも重要だと考えています。一人よりも二人、複数で取り組むことで多様なアイデアが生まれ、より質の高い医療が実現できます。難しい課題にも仲間と挑むことで、乗り越えたときの達成感も大きくなります。医師間だけではなく、看護師、放射線技師、救急救命士、臨床検査技師、臨床工学技士、リハビリテーションスタッフ、薬剤師、相談員、事務職員など、すべての職種が互いに信頼し合い、支え合えることが、吉田病院らしさであり強みです。また、自由に意見を交わせる風通しのよい職場づくりも大切にしています。遠慮せずに考えを伝え合い、組織としてともに成長していける環境を目指しています。
進化し続ける脳血管内治療と、先端技術への挑戦
厚生労働省の統計によると、令和6年の死因第4位は脳血管疾患でした。多くの方が脳の病気に悩まれており、脳卒中をはじめとした脳血管障害は、今なお地域医療において非常に重要な課題です。吉田病院では、こうしたニーズに応えるべく、脳血管分野における高度な医療を通じて地域社会に貢献したいと考えています。
脳神経外科の手術は大きく「直達手術」と「脳血管内手術」に分かれます。直達手術は長年の技術革新によってすでに成熟した分野といえますが、一方の脳血管内手術は、動脈瘤や脳梗塞に対する新たな治療法が次々に開発され、日々進歩を続けています。例えば、太い血管が詰まって起こる脳卒中に対しては、tPAという薬剤による血栓溶解療法や、カテーテルを用いた血栓回収療法などが行われています。
なかでも動脈瘤に対する治療は近年大きく進化しています。従来のコイル塞栓術に加え、金属メッシュ状のデバイスを用いたWEB(Woven EndoBridge)治療や、ステントを使って血流をコントロールするフローダイバーター治療などが登場し、従来は難易度の高かった症例にも対応しやすくなってきました。これにより、治療の選択肢が広がるとともに、より多くの患者さんに適切な医療を提供できるようになっています。
吉田病院では、こうした先進的な医療技術をいち早く導入することを方針としています。新しい治療法の導入には、講習やトレーニングの受講など一定の条件が求められますが、当院には脳神経外科学会の指導医が複数在籍しており、その体制を活かして迅速かつ確実に新技術に対応しています。これからも、常に新しい医療を取り入れながら、さらに質の高い脳神経医療の提供に努めてまいります。

脊髄・脊椎疾患から慢性脳疾患まで全般的に任せられる病院へ
当院では、脊髄・脊椎疾患に対する専門的な診療体制を強化すべく、脊髄・脊椎疾患治療センターを新たに開設しました。脊髄・脊椎の疾患は、国際的にも脳神経外科の領域で診療されており、当院においてもこれまで培ってきた脳神経外科の専門性を活かして治療を行っています。同センターでは、日本脊髄外科学会の技術指導医が高度な技術を駆使し、年間を通じて多くの手術を施行しております。対象となる疾患は、脊柱管狭窄症や頸椎症性脊髄症、脊髄腫瘍、圧迫骨折など多岐にわたり、手足のしびれや痛み、指先の動かしにくさ、さらには排尿・排便障害といった症状のある患者さんを幅広く診療しています。
また、当院では脳卒中以外にも、パーキンソン病や水頭症といった慢性疾患への治療にも力を入れてきました。近年では、認知症の進行を緩やかにするための先進的な治療法にも積極的に取り組んでいます。こうした取り組みを通じて、今後は脳神経血管疾患全般に対して、総合的かつ高度な医療を提供できる専門施設を目指してまいります。
MRIによる画像診断で適切な治療を
脳の病気は基本的に、MRIによる画像検査で診断します。約15分で脳の断面、血管像が網羅的に見られる手軽で便利な方法です。X線を使った検査では血管を見るには造影剤が必要でしたが、MRAでは血流の信号をとらえて画像にしますので、患者さんの負担が減らせます。当院では、地域の先生方が気になる症状がある方をご紹介いただいた際、診察と必要な検査をして、文書で報告しております。鑑別診断が必要な目の症状のある患者さんがいらっしゃれば、ぜひご依頼ください。
地域とともに歩む、開かれた専門病院として
脳神経外科の診療は、患者さんにとっては「重い病気かもしれない」という不安が先立ち、受診をためらうケースも少なくありません。しかし、症状の軽いうちから受診いただくことで、早期発見・早期治療につながることが多くあります。「この程度で病院に行ってよいのか」と迷わずに、気になる症状があれば、ぜひ気軽にご相談ください。当院では隔週で土曜日診療も行っており、平日お仕事で来院が難しい方にも配慮した体制を整えています。
また、日頃から地域の先生方には多大なるご協力をいただいており、心より感謝申し上げます。当院は脳疾患に特化した専門病院として、他の医療機関からご紹介を受ける一方、内科領域などは信頼できる地域の先生方にお任せするという、相互に支え合う連携体制を築いてきました。近年では、画像転送システムの普及により、病院間では患者さんが移動せずとも医療情報をスムーズに共有できる環境ができつつあり、より効率的で的確な連携が可能になっています。
地域の先生方には、ぜひ連携医療機関としてご登録いただき、必要な際は気軽にご紹介いただければ幸いです。今後も、地域の皆さまと共に、より良い医療の実現を目指してまいります。毎年、症例報告会などの場も設けておりますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
お問い合わせ
患者さんのご紹介や当院へのご意見などは
地域医療連携室にお気軽にご連絡ください。
078-576-1503
平日:9:00~16:30 土曜日:9:00~12:00