コラム
最近、脳卒中は心筋梗塞における”Heart Attack”と同様に、発症後直ちに対応すべき”Brain Attack”として認識されるようになってきました。これは皆さんもご存じのように2005年10月から遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン活性化物質(rt-PA)が使えるようになって急性の脳塞栓症な患者さまの予後が3時間以内なら画期的に改善されるようになったからです。また、他の虚血性脳血管障害、出血性脳血管障害も軽症で治療が開始できればその予後は飛躍的に改善されます。
このような意味をふまえてここでは
以上について簡単にお示ししたいと思います。
卒中・中風という言葉は、「突然悪い風にあたって倒れる」ことを意味します。血管の障害とは血管がつまったり、破れたりすることです。脳の機能が失われると、手足の麻痺や言語障害、視野・視力の障害などさまざまな症状がでます。
脳卒中には
血管のつまり方により3つのタイプに分けられます。
ラクナ梗塞
穿通枝(せんつうし)と呼ばれる脳の細い血管がつぶれてつまる小さな脳梗塞(1.5cmまで)。高血圧や糖尿病が原因となります。
アテローム血栓性脳梗塞
脳の太い血管の壁が動脈梗化のために厚くなり、内腔が狭くなったところに血栓が形成されてつまる大きな脳梗塞。高血圧・糖尿病・高脂血症などが原因になります。
心原性脳塞栓症
心臓でできた血栓が脳の血管に流れてきてつまる大きな脳梗塞。重症になることが多い。
心房細動・心臓弁膜症・心筋梗塞などの心臓病が原因になります。
症状の現れない脳梗塞(無症候性脳梗塞)
脳梗塞が起きていても脳の障害が小さいと症状が現れない場合があります。これを無症候性脳梗塞といい、これがあると将来脳卒中の発作を起こす可能性が高いと言われています。
脳出血
穿通枝と呼ばれる脳の細い血管が高血圧のためにつぶれて出血し、脳の中に血腫(血の塊)ができます。血腫により脳が部分的につぶれて機能を失い、麻痺などの症状がでます。また、血腫により脳の圧力が上がり、激しい頭痛や嘔吐がおこります。大きな脳出血では意識障害がおき、生命が危険になります。
くも膜下出血
脳の太い血管に脳動脈瘤という“コブ”ができていて、それが破裂して脳の表面に大量に出血します。出血は全体にまわるので麻痺などの局所症状はあまりでません。脳の圧力が上がるために激しい頭痛と嘔吐がおこります。しばしば意識を失うことがあります。脳卒中の中でもっとも死亡率が高く、約半分の人が命を失います。早期に適切な外科的治療が必要です。
脳卒中はいまだ3大死亡原因であり、年間13万人もの患者様が脳卒中が原因で死亡してしまいます。(図1)
脳の機能は一度失われると元に戻ることはありません。たとえば右半身の運動を掌る脳が脳梗塞によって破壊されると脳細胞は再生されないで破壊された隙間を埋める全く別のものになりますので何年たっても右半身の機能は失われたままです。高齢であれば寝たきりになる可能性も非常に高くなってしまいます。
図2をご覧ください。何せ脳卒中は一度なってしまうとお金がかかるんです。日本の70歳以上の医療費のトップです。
図3をご覧ください。要介護、要支援・・・要するに病気のため人の手を借りないと生きていけない人の多くが脳卒中になっていると言うことです。とすればどうすることが大事か?賢明な皆さんはすでにお分かりかと思いますが、予防、あるいは一度脳卒中を起こした経験のある人にとっては再発予防が最も大事になってきます。予防に関しては後ほど説明します。
図3. 要介護の原因
(厚労省平成21年国民生活基礎調査より)
脳出血・くも膜下出血では激しい頭痛と嘔吐が特徴的ですが、脳梗塞(血管がつまる病気)では頭が痛くなりません。軽い症状が数時間・数日で徐々に進行することもあります。
多くは上記の症状が1~数時間以内に完全に消失してしまう。脳がつぶれてしまう前に血の流れが回復した状態です。良かったと安心してはいけません。血の流れを滞らせる何かが潜んでいるのです。実際、この状態を放置すると数年以内に20~30%の人が脳梗塞になってしまいます。
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